津波による桁が流失した橋梁の再現解析

 東日本大震災において、津波により被災した橋梁の再現解析を実施し、2011年7月28日に開催された「第14回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム」で発表しました。このシンポジウムは震災後に最初に開催され、当社がいち早く新たな再現解析手順を提案して、桁流失の実橋梁に適用したことに高い評価を得ました。

【投稿論文】
原田隆典、村上啓介、Indradi Wijatmiko、坂本佳子、野中哲也:
津波により桁が流失した床版橋の再現解析、土木学会、
第14回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集、pp.103-110、2011.7。

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【本論文の概要】
本研究では、次のような一連の再現解析手順を提案した。まず観測された津波高さを活用または長波理論の2次元津波解析を実施することにより波状段波を定義して、差分法による3次元津波解析を実施する。この解析により得られた桁に発生する圧力を波力の時刻歴データに変換する。次に、対象橋梁の解析モデルに対して、その波力を作用させる時刻歴応答解析を実施する。このような一連の解析手順を提案した。
本提案手順に従って対象橋梁の再現解析を実施したところ、津波の波力により支承に負反力が発生し、コンクリート桁が浮上ったと推察される。また、津波が襲来する前に本橋梁に対して揺れ(地震力)が作用するが,地震応答解析の結果から支承が損傷しないことがわかった